2022-04-21

退職させない上司にブチ切れた話

Pocket

先回、私がニートをしたり精神科に連れていかれそうになりながら
転職したという話を書いた。

転職して今の会社に来てから4年になる。
会社内では(仮面を被って)イエスマンである私だが、
先輩の退職をめぐり、初めて上司にブチ切れた。
というかたぶん人生で一番怒っていた。

 

会社について

まずは会社やその体制といった背景から記そう。
私が勤めているのは中小企業で、社員も50人以下。
部署のトップは昭和的な思考のワンマンで、
私が入ったときはサービス残業当たり前だし、
上司のコーヒーを入れるのは女性社員の仕事みたいな、
私が嫌悪する空間であった。

仕事に関しては、
パソコンがあるのに手書きの書類ばかり、
今までやってきたやり方を続けるだけで
効率化や改善といった視点が驚く程ないところだった。
周囲の社員がやっている残業も
ほとんど緊急でもないし、重要でもない仕事ばかり。

保育園からドラクエを始め、
小学校からRPGやネトゲ効率厨の下積みをしてきた私に
とっては、狂いそうな環境。

入社後、私は効率化の鬼と化し、
パソコン詳しくないけどネットで調べまくってマクロを組み、
書類のデジタル化、不要な業務の撤廃などを進め、
”残業1時間当たり前”から、”残業なしが当たり前”という
環境にすることができた。
 

先輩の三嶋さん

ぼくより1年先に入社した三嶋さん(仮名)は、
私と変わらないぐらい歳だが業界での経験も長く、
どんな仕事も圧倒的なスピードでこなしていた。
三嶋さんは人が良いタイプで、
あまりNOと言えない人だった。
誰よりも仕事をする三嶋さんはサービス残業で残る中、
その半分も仕事をしていないような社員は定時帰宅。

私は上司よりも、三嶋先輩にいろんなことを教えてもらった。

そんな三嶋さんは数年一緒に働いた後、
ワンマン上司と共に多忙な部署へ異動となった。
 

三嶋先輩の異変

三嶋先輩が異動になってから、
毎日会うことはなくなった。
週に何回か業務連絡をするとやや疲れている様子。
業務量が多すぎるのでは?と勝手に心配していた。

三嶋先輩の異動から数カ月経った頃、
仕事で会った先輩の様子は明らかにおかしくなっていた。
これはやばいと思って、先輩をご飯に誘って話をする。

話を聞くと、先輩は「辞めたいけど辞められない」と言う。
「つらいから辞めたい」という話を先輩が上司にすると、
相手にしてくれなかったり、怒られたりするらしい。

それを聞いて、私は自分のはらわたが煮えくり返るのがわかった
この表現を作った人、あなたすごいよ。
マジでその現象、今起きてるよ。

先輩によれば、ストレスから夜寝れず、急に泣き、
少食になり、朝起きれず、自傷行為をするようになったらしい。
私は、そのワンマン上司にブチ切れると同時に、
『はやくしないと三嶋先輩が壊れる』と冷静に感じた

三嶋先輩は以前みたいに笑うことが無くなっていた。

先輩を苦しめる奴は誰であろうと絶対に許さない。
 

上司とのケンカ

三嶋先輩の話を聞いてからしばらくして、
ワンマン上司と面談をした。
業務上でよく関わりがある私に対して、
「三嶋が退職したいって言ってる。最近の三嶋の様子はどうか」
と聞かれた。
上司は、あくまで三嶋先輩辞めさせない前提の上で、
ゆっくりどう対応するかを考えたいようだった。

あなたは一体、三嶋先輩の何を見ていた?
もうゆっくり考える時期じゃない。

明日にでも辞めさせるべきだと思います。
もう遅いです。
と私は言った。

上司は呆気にとられた様子で、少し間が空いた。

「そうか君はそう考えるか」
「三嶋は神経症的なところがあるからな」

絶望した。上司失格だと思った。

僕もじきに辞めます
「やりたいことがあるので」

怒りすぎ冷静さを欠いて胸の内を口にしてしまう。
「やりたいことがあるので」は半分嘘。やりたいこともあるけど、
「会社と上司に絶望したので」がこのときの本音。

この言葉をきっかけにさらに口論になる。

「君が辞めるのは構わないが、三嶋を巻き込むな!」
「僕が辞めるとか関係なく、三嶋さんの状態を考えて言ってるんです
 三嶋さんはもう休むべきです」

終業後、3時間程の口論終えて帰宅する。

上司の上司に報告

ワンマン上司との口論後は、
業務上はそれとなく普通に会話をする。
三嶋先輩のことについて、会社側では全く進展が見られない。

しばらくして上司に、
「三嶋さんが退職したいと言ってることは
上の人には伝えてるんですか?」と聞くと、
いや、まだ言えてない
 こっちでどうにかしようかと」と言う。

やはりここで止まっていたか
遅すぎる。
もう、僕がやるしかない。

三嶋先輩は仕事こそ無理やりやってるけど限界に近いうつ状態である。
ワンマン上司も人を人と思っていない。退職希望者の報告を止めている。
周囲の社員は三嶋さん大丈夫かな?って言うだけ。

三嶋先輩と細かく話をした結果、
労基署を巻き込む程の問題にしたくないとのことだったので、
三嶋先輩の気持ちと状況、ワンマン上司の対応をまとめて、

死ぬほど緊張しながら、人事(上司の上司)に電話をした。
たまたま以前連絡があった時に登録してあった。

「わかりました。どうにかします」

人事にはこれで伝わった。

上司の上司に、告げ口のような形で相談することになった。
上司から何を言われようと、自分が居れなくなってもいい。
ただ三嶋先輩が退職できるなら。
 

三嶋先輩の退職

告げ口電話の後日、
人事が部署に来て話し合いが行われ、
三嶋先輩は晴れて退職することになった。

退職後、三嶋先輩はうつ症状がなくなり、
現在は違う会社で働いてる。


三嶋さんの退職までの一連の出来事は、
人間にとって何が大事かを改めて考える機会になった。

このワンマン上司の対応は、
ひとりの人間を使い捨てるかのように、
ボロボロになるまで働かせているのと同義だ。
もっとも優先されるべき、人の体や
精神が見えていないが故の対応である


ちなみに、三嶋先輩の退職からしばらくして、
「俺が間違っていた、三嶋を苦しめていた」
とワンマン上司から言われた。



一連の出来事で、私は確実に人生で一番憤慨した。
そこまで憤慨したのは、
私が一番大事にしている考えが踏みにじられたからだ。
それは、人間(自分も他者も)を大切にするということ。

他人の気持ちや文化、価値観を共有できないこともある。
しかし、鴻上尚史氏も述べていたが、
性格・文化・背景を踏まえて
他人を理解することはできるはずだ


三嶋先輩が何に苦しんでいるのか?

バブルの荒波も乗り越え昭和的な価値観を
抱いたままのタフなワンマン上司でも、
平成以降のデジタルネイティブで生きてきた、
繊細で控えめな三嶋先輩を理解することはできる。
少なくとも、理解しようと努力することはできる。

自分も相手も大切に考え、理解しようと努力すること。
それを忘れてしまうころには、
私はもう、私では居られない。

Pocket

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。